政府は長生炭鉱の遺骨調査にも後ろ向きで、問題を取材したノンフィクションライターの安田浩一氏は「国の指示による増産態勢が取られる中、多くの朝鮮人労働者が海底で働いた。本来は政府が率先して遺骨収集にかかわるべきだ。長きにわたって放置してきた政府の姿勢に憤りを感じる」と指摘する。
政府による民間労働者の遺骨返還が進まない中、近年は歴史自体を否定・修正する動きもある。14年、奈良県天理市が旧日本海軍の飛行場跡地に設置していた「強制連行」の文言が入った説明板を撤去したほか、今年2月には群馬県が県立公園「群馬の森」(高崎市)にあった朝鮮人追悼碑を行政代執行で撤去した。
東京大の外村大(まさる)教授は「このような歴史否定の状況が広く知られると『日本人は過去の歴史を反省していない』という批判が国際社会の中で説得力を持つ。加害の歴史を否認することで損なわれるのは日本人の名誉だ」と危ぶむ。
82年間、海底炭鉱に放置された朝鮮人の遺骨 坑内に生き埋め…「どうしても償いたい」回収に奔走する人たち:東京新聞 TOKYO Web
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