通貨を生み出し、発行する=その通貨で何かを買う、という段階では、(中央銀行と連結した統合政府としての)政府は「対価なしに財やサービスを獲得する」。これが通貨発行益。ここまでの話からわかること。
(1)通貨発行益の大きさは、貨幣需要の大きさに依存して決まる。その経済が大きくなり、取引の規模や頻度が増え、それを媒介する貨幣がたくさん必要になる(取引需要が増大する)と、それだけたくさん通貨を発行することができる。また、当該通貨を使って「貯蓄する(価値を保存する)」規模が大きくなると、これも通貨の発行余地を大きくする。つまり、通貨発行益は、経済を成長させていくことで大きくなるよね。
(2)ある通貨が国際通貨として通用するようになると、外国の経済主体も取引の決済手段・貯蓄の手段としてその通貨を使うようになるから、さらに通貨発行益は大きくなる。
逆に、国際通貨ではないその国の通貨での取引や貯蓄は減るから、その国の通貨への需要は減り、通貨発行益を小さくする。
つまり、国際通貨を持たない国から持つ国への、実質的かつ強制的な所得移転が発生することになる。……アメリカ丸儲け。