『虎に翼』に登場する桂場等一郎(演者:松山ケンイチ)のモデルになった人物は石田和外なんですよね。この石田は若い頃からの天皇主義者で、さらには「英霊にこたえる会」や「日本会議」(の前身)の設立者という筋金入りの極右。
日本の極右活動を生涯かけて牽引した人物がモデルなのに、桂場の言動や思想は今のところ適切に批判的な描き方がされているとは私は思えなくて、むしろ視聴者間では「ツンツンしてるけど憎めない可愛らしいところのあるキャラ」として好感度が高そうなのが怖い。
これから桂場がどういう描かれ方をするのか(石田の作り上げた負の遺産を批判的に描く展開があるのか触れずに隠蔽するのか)を私はかなり注目して観ている……のだけど、もはや作中でどう描写されようと、ノンポリ層の勧誘に余念のない(そして財源のある)極右勢力が桂場というキャラの人気を見逃すわけがないだろうなと思っている。
おそらく今後、これ幸いと「桂場のモデル」という冠を被った「石田和外の伝記本/思想本」が何冊か刊行されるだろうし、そしたら『虎に翼』の視聴者の何割かは副読本として買うだろうし、そしたら『虎に翼』ファンで"フェミニスト"を自認してる人たちの中から極右に傾く人も出てくるんだろうな、とも思っている。他の作品のファンダムで何度かこの流れを見たので……。
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