そもそもマイノリティは、社会運動をしていると明かすことにマジョリティよりもはるかに大きなリスクを伴います。私たちが行っている「永住許可取消し法案反対」の運動も、まさにそうした大き過ぎるリスクと隣り合わせです。 入管が今なお根拠として使用する「マクリーン判決」は、永住者が反戦デモに参加した(政治活動をした)という理由で永住許可を取り消され帰国を命じられたものです。この判例/事例から明らかなように、永住者は日本でデモに参加するなどの一般的な政治活動をすることさえ、そしてそれを公表することさえ、生存権/居住権を奪われることに繋がるのです。 人権運動/社会運動をできない人、行っていると明かせない人、こうした非常に弱い立場の人々の存在を無視した言説に、私は倫理があるとは思いません。私は複数のマイノリティ属性を持つ者であり、ある面ではマイノリティ当事者でもありますが、運良く活動ができて、それを(ある程度)明かせる立場です。だからこそ、人権運動の中で「沈黙は加担」という言葉がひどく雑に使用され、「だれが怠け者なのか」を探して責めるような風向きがあることを憂いています。