伊藤剛氏の「フェア」の観念には戸惑わざるを得ません。暇空も呉座さんも女叩きしていたのが共通点(前者はそれで儲け、後者は地位と名誉を傷つけましたが)といえます。もしかして、「女のくせに物申すのは思い上がりである。それに身の程を知らせることはフェアである」とでもお思いでしょうか。
私としてはこれは、SNSでの承認欲求にはまってしまった結果、研究者や法曹のような、相当の読解力がなければなれない職の人でも、眼前のテキストよりもネットでまかり通る曲解の方を優先し、それに泥むことでネットの「大衆」の支持を得て、俺は狭い分野の専門家ではないとイキっているのでしょう。
そのような、専門家としての特質とそれを支える専門家集団の倫理よりも、ネットのミソジニーな俗情に泥んでしまう専門家のことを、私はある先生の命名に従って「なろうどニキ」と呼んでいます。ネットが人の知性を如何に劣化させるか、その悲しい実例です。