それは「ナチ/ナチ以外のドイツ右翼(保守革命)/その他」という枠組で、こう考えるとハイデガーがナチと喧嘩したからといって、反ユダヤ主義的な右翼でいつづけることはあり得たことになります。やや轟さんがハイデガーを贔屓しすぎているところがあるのではないか、とのご意見でした。
このようなドイツのナチでない右翼の伝統、「保守革命」については、まさに長谷川さんが翻訳されたヴァイス『ドイツの新右翼』という本があります。私も読んだことがありますが、今日の世界情勢を見る上で大変参考になる本だと思います。
ついでにご紹介すると、前出2021年のハイデガーの伝記は未邦訳ですが、著者ローレンツ・イェーガーの別の著書『ハーケンクロイツの文化史 シュリーマンの「再発見」からナチ、そして現在まで』はやはり長谷川さんたちが訳されています。過剰な意味を読み込まれた紋章の歴史。