木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』(講談社選書メチエ) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000387591 では、大学の歴史授業が「グローバル・ヒストリー」一色になる一方で、「ポスト・コロニアリズム」や「カルチュラル・スタディーズ」が十分に定着せずに不発に終わったことについて、次のように書かれている。
「「ポスト・コロニアリズム」分析や「カルチュラル・スタディーズ」は日本の帝国主義的近代を鋭く批判しうる。しかし「グローバル・ヒストリー」の西欧中心主義批判は転じて反西欧の闘争を鼓吹するというより非西欧たるをそのまま全て肯定してくれる。「お前は挫折したけれども、どうせあのブドウは酸っぱい、今のままでお前はいいんだよ」と言ってくれるのである。」
世界史研究者の皆さんは猛反発されるかもしれないけれど、日本社会における知見の定着、という観点から見れば、こういった側面があることは否定しがたいようにも思う。