「うちの子は障害がある。まともな人間じゃない。そんな子を一人前に仕事ができるような錯覚をさせてもらっては困る」と。
その後、店の外でかなり長い間彼女は母親に叱られていた。何を話しているかはわからなかったけれど、彼女はうなだれ、オドオドと周りを見て、そして初日、仕事ができなくて独り立ち尽くしていたあの彼女に戻ってしまっていた。
私は何も言えなかった。私はただの赤の他人。彼女に対して何か責任を取れる立場でもない。彼女のこれからに責任を持ち、支援していくのはあの母親だ。
結局彼女はそれっきり店には来なくなった。クリスマス当日。彼女はいなかった。店は相変わらず忙しく、自分らはポットパイをセッティングし、サラダを盛り、サイドオーダーをこなした。彼女がいなくても仕事は回る。そりゃそうだ。それが職場。だが、やっぱりみんな空いた穴を感じてはいたよ。彼女はあそこで確実に店を支えるスタッフの1人だった。
あれから彼女には会っていない。顔も覚えていない。だが時々思います。どうか彼女がまたあんな笑顔で何かに打ち込む瞬間が訪れますように。伝えられなかったけどあなたはダメじゃない。ほんと、ダメな子じゃないんだよ。
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