気持ちは滅多にない。ほんと、消えたくなるくらい惨め。
だから声をかけた。「手伝ってくれる?」彼女は最初はオドオドしていた。が、その前に遅いながらもパイ生地の形作りやポットパイの焼成セッティングが得意そうだなと見ていたので、それをお願いしたんだ。「急がなくてもいいよ。綺麗に作ってね」と言って。
そしたら、そりゃもう綺麗に仕上がる。丁寧に丁寧に次から次へとポットパイがセッティングされて行く。「うわあ、綺麗だねえ。お客さんが喜ぶね」と言うととても嬉しそうに笑って、更に綺麗に仕上がるように工夫までしてくれる。しかも、スピードもどんどん上がって、注文にも充分間に合うようになった。2日目、3日目、彼女の技術は瞬く間に上がって、ポットパイ以外にもサラダなんかの美しい盛り付けもできるようになった。
話すことは苦手で接客は難しかったけれど、サイドキッチンの奥で黙々と美しいポットパイやサラダを仕上げてくれる。そしたらバイトリーダーのおばちゃんが「ちょっと、これ誰が作ったの?綺麗だねえ」とお声かけしてくれた。「彼女ですよ」と言うと「いや、あんた、上手だねえ。頼むね」と。彼女はほんとに嬉しそうに笑って、
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