もはや本屋は言論の主戦場ではなく、現代の主戦場であるSNSに議論の「タネ」を供給するための場でしかない。そしてどの「タネ」が選ばれるかについてもパワーバランスの影響があるため、たとえ本屋店頭にある数が少なくても、ヘイト言説のほうが採用されやすい(採用されてSNSに投稿されたあとの影響力も大きい)。
例:トランス女性に対する差別が圧倒的に存在する社会においては、「トイレで云々」という言説があればそれが強烈な勢いでもって活用されることになる。これはヘイターだけに限らない。トランスの存在すら知らない者も同様に、「そんな危険なやつがいるのか」という反応になる。そしてそれが印象に残り、「気軽に」SNSに投稿されることでまたその「危険言説」は強化される。