避難者の自殺の話は何件か地元づてで間接的に聞いていますが、多くに共通するのは、自分の自宅に一時帰宅か帰還したあとに、自ら死を選んでいました。
避難先に居場所が見つからず、自分の故郷の様子を見て、あるいは帰還してみて、ここにも自分の居場所がなくなっていることを思い知らされ、どこにも居場所がない、と絶望したのだろうと思います。
想像するだけで胸が苦しくなる痛ましい話ですが、「居場所」がなくなるというのは、この世に存在する場所がなくなるに等しいのだ、ということは共有されていいのではないかと思います。
この場合の「居場所」は土地だけを意味するのではありません。
ふるさとを持たない人であったとしても、こうして今そこで生きていられるのは、なんらかの精神的な居場所が確保されているからです。
田舎の人にとってみれば、精神的な居場所が物理的な土地と深く繋がっているというだけで、本質的な違いはないはずです。