甘い醤油が高級という通念のあった北部九州では、大正時代から甘味料を添加した醤油があり、アミノ酸醤油は甘味に加えてうま味も増えるので、甘露醤油の代用品として人気が出たのだそうです。そのような背景のなかった関東では、アミノ酸醤油は粗悪な代用品として嫌われ、戦後消滅します。
アミノ酸醤油が東西で命運を分けたのは、戦時中の統制も影響しました。太平洋戦争下は醤油も統制されますが、添加するアミノ酸液はまた別に統制されたので(縦割り!)、北部九州ではアミノ酸液が不足する一方、関東では粗悪なアミノ酸液の添加が進んで消費者から不評を買ったのだとか。面白いですね。