21世紀に入ってから、自民党政権は男女共同参画の骨抜き、子ども庁から子ども家庭庁への改名、夫婦別姓への反対、同性婚への反対、LGBT法骨抜き、共同親権の導入など、各分野で人権バックラッシュ(人権への逆行)をじわじわと進めている。
日本の司法も、伝統的に人権への態度はかなり消極的だ。日本国憲法が定める人権の規定は「企業対個人の私人間契約には適用されない」「外国人には適用されない」という最高裁判決が判例となり、その後の司法判断を消極的なものとし続けている。
2023年に来日した国連人権理事会ビジネスと人権作業部会は、ミッション終了報告の中で「日本の裁判官への人権研修を推奨する」と明記した。国際人権法の専門家らから見て「日本の司法はまずい」と認識された訳だ。
一方で、ビジネス分野は人権状況の改善が進んでいる。
ジャニーズ問題があれだけ大きくなったのは「ビジネスと人権」の枠組みのおかげだ。企業はサプライチェーン全体での人権状況改善が求められている。つまり特定の会社内に留まらず、取引先企業を含めた国際的なネットワーク全体で人権を守るよう求められている。これにより、企業に人権を守るよう求める圧力が国境を越えて作用する。
(続く