いわゆる「買って応援」系のあれこれは、言い換えれば「無理して買ってもらう/買わせる」であって、購入する側にそのような意識がないにしても、実際のところ「無理」は生じている。ゆえにそのようなあり方を続けていればいつか皺寄せはやってくるし、金属疲労的な感じでぽっきり折れることもある。となると理想は「無理をしないで買える」環境を整えることであり、そのような環境にはいわゆる「エモさ」のようなものはなくてもいいものになる。必需品を買うときのような無感動さ、あるいは金に余裕があるからこその無鉄砲さが、確保されている環境(当然そこにも無感動さ、ないしは感度の鈍さが付随する)。本を愛する者たちはそのようなありかたを拒否するだろう。しかしそうならなければ、この業界は苦しいままだ。そしてそうならなければ、この社会も苦しいままである。