ただ、「円安」がもたらす「値上げ」の「痛み」を強く受けるのは消費税の時と同じく好景気の恩恵なんか特にない一般庶民たち。冒頭で書いた「実質賃金が21カ月連続下落中で2023年の実質消費がマイナスになってる」というのがまさに今庶民が受けている「痛み」の具体例。
ただ、庶民に「痛み」を与える「値上げ」も上場企業の最高益を演出するのに一役買っていて、例えば大手電力会社8社が最高益を上げた要因は「燃料費の値下げ」と「料金の値上げ」だった。
このように庶民を貧困化させて「エリート」たちに金を回す「下層から上層への再分配」は「円安」でもしっかり起こっていた。
最後にもう一人の「エキスパート」のまともなコメントを引用して終わる。
「株価が上がっているのは、円安や労働分配率(企業が生み出した付加価値のうちどれぐらいが従業員の給与などとして支払われているかを示す数値)の低下によって、上場企業の収益が好調なためだ。
その一方、最近の株高を演出している円安は物価高をもらたし、労働分配率の低下は賃金の伸び悩みを意味するため、いわば国民生活の犠牲のもとで株価が上がっているようなものだ。
「成長と分配の好循環」を目指すという岸田政権発足当初の目標は全く達成されていない。」