ただ一方で、住民に意見を聞けば皆「戻りたい」というかといえば、それは東日本大震災では高齢男性や役職者男性のみの意見を聞いたからそうだったのではないか、と思います。
女性や若者の意見を聞くと、おそらく違う見方がたくさん出てきたと思います。
住民議論を行うときには、多様なアクターを必ず入れ、同質な人だけで議論を行わないようにする、というのが大前提です。
また対立構造にならないように、賛否の2者に分かれて議論しないことも重要。賛否どちらでもないけれどもなんらかのかかわりがある人にも議論に入ってもらう。少し俯瞰的な見方ができる専門家や第三者にも入ってもらうと、場がぐっと落ち着きます。
福島の場合は、同質の既得権益男性高齢者の意見ばかりを聞き続け、そこに湯水の復興予算があったばっかりに、負の悪循環サイクルに突入後も、問題をごまかすために次々と予算が投下され、さらに問題が複雑化し、さらにそれをごまかすために予算が投下され…という状態のまま、復興予算切れに突入しようとしている(にもかかわらず、未だに何も考えていない県知事…)という悪夢シナリオになっています。