森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、自殺した財務省の職員の妻が、国に対し文書の開示を求める裁判の控訴審が始まりました。妻側は国の主張を全面的に認めた1審判決を「常識とかけ離れている」と批判し、破棄することを求めています。
財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は、学校法人「森友学園」に関する公文書の改ざんを苦に自殺しました。
当時、財務省と近畿財務局は大阪府豊中市の国有地を8億円以上値引きして売却した問題と、関連する公文書を改ざん・破棄した問題で、大阪地検特捜部から捜査を受けていました。(後に不起訴処分)
■「将来の捜査に支障が及ぶ恐れもないとは言えない」と不開示に
赤木さんの妻・雅子さんは、財務省と近畿財務局に対し、「捜査の過程で特捜部に任意提出した資料」の開示を求めましたが、「捜査に支障が出る恐れ」を理由に、「あるかないかも答えない」とする不開示の決定を出されたため、この取り消しを求めて、大阪地裁に提訴。
しかし、去年9月、一審の大阪地裁(徳地淳裁判長)が「文書を公開すれば捜査の手法などが分かる恐れがあり、同じような事件や行政機関が対象となる事件で、将来の捜査に支障が及ぶ恐れもないとは言えない」などと、国の主張を全面的に認めて訴えを退けたため、雅子さんは控訴していました。
■一審は「情報公開制度の常識からかけ離れた判決」と赤木さん7日に始まった控訴審で、雅子さんの弁護団は、「『原則公開』を前提とする情報公開制度の常識からかけ離れた判決で明らかに誤りがある」などとして、一審の判決を破棄し、国の不開示決定を取り消すよう大阪高裁に求めました。
一方、国は「雅子さん側の主張にはいずれも理由がない」として、控訴を速やかに棄却することを求めました。