“まだ混乱が収まらない被災地では素人ボランティアなど足手まといになるだけ”っていう話には、俺も当初、「なるほどなぁ…」とか感心までしてたんだけど、さすがに現場も落ち着いたろうって頃になっても、“そろそろボランティアの出番だ”的な解禁が一向聞こえて来ないのね。「まだ行くな」の声は、あれほど大きく、ヒステリックですらあったのに。で、首を傾げてたんだけど、ふと、「…もしかして、“救助や復興の妨げになる”とかじゃ全然なくて、あれ、“ボランティアに行かせない”が、ほんとの目的だったんじゃないか?」って思い当たったの。だとすれば、何のためにそんなことを?「誰かが“ボランティア”という行動を起こすことで、やらない自分が相対的に貶められているように感ずる」。おそらく、これでしょう。だから、「あえて何もしない」と正当化に走る。支援できる他の手段を選べば良いものを、もっともらしい方便を弄し、さらに、“迷惑ボランティア”をあげつらうことでボランティア自体が害悪であるかに印象付け、他者の意志をくじくことのほうに力を注ぐ。挙げ句、被災者が必要としたかも知れない人手を奪おうとも、セコいプライドを守る、醜悪なまでの自己愛。結局、「まだ行くな」じゃなくて、単に「行くな」だったんだよな。「ボランティアに行く?この俺様を愚弄する気か!」と