北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)は、2018年(平成30年)9月6日3時7分59.3秒(日本時間)に、北海道胆振地方中東部を震央として発生した地震である。地震の規模はMj6.7、震源の深さは37 km(いずれも暫定値)。最大震度は、震度階級でもっとも高い震度7で、北海道では初めて観測された。気象庁は同日、この地震を「平成30年北海道胆振東部地震」と命名した。
なお、地震発生直後には震度データの入電しない地点があり、気象庁は当初、安平町で観測された震度6強を最大震度として発表していた。その後、厚真町鹿沼で震度7を観測していたことが、当日夕方までに判明した。
また、本地震の震源がある胆振地方中東部では、2014年(平成26年)7月8日18時5分に白老町で最大震度5弱を観測する地震(震源の深さは3km、地震の規模はMj5.6)が、2017年(平成29年)7月1日23時45分に安平町で最大震度5弱を観測する地震(震源の深さは27km、地震の規模はMj5.1)がそれぞれ発生している。
震度7が観測されたのは、1995年兵庫県南部地震(M7.3)、2004年新潟県中越地震(M6.8)、2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)、2016年熊本地震の前震(M6.5)、本震(M7.3)に続いて、観測史上6例目。
地震のメカニズム
本地震の発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、プレート内で発生した地震である。余震は最初の震度7の地震の震源地から南北に広がっている。傾斜角は70°で、高角な逆断層型である。現在の東西圧縮場においてこのような南北走向の高角な逆断層は形成することは難しい。これは、漸新世後期から中新世中期における右横ずれ断層が逆断層にインバージョンした可能性が指摘されている。
余震域の深さは上端は7km・下端は45kmで、上部地殻から下部地殻、深さ26km付近のモホ面を貫通して上部マントルに達する。上端の7km以浅は堆積層では余震はほとんど分布しない。
東北日本や西南日本では断層の脆性破壊は通常上部地殻のみで、上部マントルまで達するようなものは見られない。これは、断層深部では地熱温度が高温となり脆性破壊を起こさずに塑性変形となるためである。北海道中軸において上部マントルで脆性破壊が起きる理由としては、千島前弧から剥離し沈み込んだ地殻が直接マントルを冷やすと同時に…