そうやって、私たちの関係性が変化していくことで、面接の外でのその人の対人関係も変化します。上から教えて変わるものじゃないんですよ。
個人主義についてですが、バトラーが言っているのは、フロイトの頃の古色蒼然とした人間の成長モデルでの「自立した個人」だと思います。特にそれは西洋的な価値観と深い繋がりがあったんだろうとは思います。今はむしろ少なくとも精神分析の中では「依存する能力がない人間は自立できない」と考えるのが普通だと思います。
上に書いた、クライエントが私に要求をできるようになるとか、怒りを表現できるとか、自分の気持ちや要求を言葉で伝えるとかは、大人が他者に「依存する」ためには必須の能力です。その能力がなければ、個人主義では生きられません。
例えば、誰でも良いけれど、コロアキみたいな人は真面目に他者に怒ったり自分の要求を言葉で伝えたり出来ない人です。そこまで成長していない。だから嫌がらせのような表現手段で甘えることしか出来ない。彼らは自他の分離が出来ておらず、個人主義が理解できない。