「させていただく」は、誤用というよりは、誤用が多い、ということみたい・・・
「させてもらう」が元の形だから、大元は、相手の許可を得てある行動を取る、という形に(「勝手にさせてもらう」みたいに強制的に許可をもぎとることで自分が「勝手に」動くぞ、というのを強調する使い方もあるけど)。
なので、「相手の許可がいるようなもの」でないと「一体誰に向かって言っているんです?」ということに。
「議長を務めさせていただきます」みたいな言い方は、微妙なライン。その場にいる人たちに選択権がないなら「おかしい」し、皆が話し合った結果、「じゃ、○○さんで」となったなら、許容範囲に入る。
議長でなく司会なら、大概アウト(予め司会は、聴衆に関係なく定められていることが多い)。ましてや、「部活でご一緒させて頂いた・・・」辺りになると、意味合い面では、ずれた状態に(まあ、「お前、俺と同じ部活をやっていいぞ」と許可を出した、というなら・・・しかし、まずそんなケースはないわけで)。これが、部活でなく、「前回のプロジェクトで」になると、そこにいる人々との関係性によって、適切になったり、適切でなくなったりするので、結構使いどころが難しい(まあ、敬語だもんね・・・)。
「用意させていただきます」なんかも割とありがちだけど、微妙ラインなことが多そう。
後、敬語って言葉的には重量がちょっとあって、「もたついた」部分があるので、適切に使われないと、うっとうしさが出てしまう。
「用意させていただきます」→「用意します」「用意致します」
必要がない場面であれば、「させていただく」が入らない方が、スマートな響きになる。
他方、元の意味とは違う意味で使われるようになるケースは、山のようにあるので、このまま定着して行けば、「便利に使える丁寧語(本来は謙譲語)」なポジションになる可能性もある・・・かも?