少なくとも西側民主主義国家での中心的課題のひとつが、アウシュヴィッツとはなんだったのか、で、あったと思うのですが、それをまさかユダヤ人の建設した国であるイスラエルそのものがひっくり返しに入る計画が事実であるなら、戦後民主主義社会の終焉を象徴するといえばそうなのかもしれませんが、あれだけ繰り広げられてきた思想的営為もあっけないものだ、とも思います。
少なくとも私たち世代くらいの文学に少しでもかぶれたことのある人で、「アウシュヴィッツ以後に、詩を書くことは野蛮である」という言葉を聞いたことのない人はいないと思うし、それについてなにか書いたり考えたことのある文学かぶれも相当いると思うのですが(私も含めて)、こうした人々の知的な営為すべてをひっくり返すような衝撃ではないでしょうか。