メチルフェニデート(英語: Methylphenidate)は、ドーパミン及びノルアドレナリン再取り込み阻害作用によって前頭前皮質や線条体を刺激し、脳機能の一部の向上や覚醒効果を主な作用とする精神刺激薬である。日本ではナルコレプシーの治療薬にリタリン(Ritalin)と、ADHDの治療薬に徐放製剤のコンサータ(Concerta)が認可されている。同効薬として、精神刺激薬のアンフェタミン、ペモリン、モダフィニルなどがある。
日本でのリタリンの適応症はナルコレプシー、コンサータの適応症は注意欠陥・多動性障害(ADHD)である。
リタリンとコンサータについて、それぞれ流通管理委員会が設置され、流通が厳格に管理されており、登録された病院、薬局でしか処方、薬の引き渡しができない。
第一種向精神薬(麻薬及び向精神薬取締法)と処方箋医薬品・劇薬(医薬品医療機器等法)に指定されている。
メチルフェニデートは、アンフェタミンやメタンフェタミンと比較し依存形成しにくいものの、精神的依存の報告がある。一般的な副作用は、眠気、不眠、頭痛・頭重、注意集中困難、神経過敏、性欲減退、発汗、抗コリン作用(口渇、排尿障害、便秘、食欲不振、胃部不快感、心悸亢進、不整脈、筋緊張など)などである。
世界での歴史
メチルフェニデートはスイスのチバ社(Ciba Pharmaceutical Company, 現ノバルティス社)によって1944年に合成され、1954年に特許が取得され、ドイツで発売された。当初はアメリカにおいて、うつ病、慢性疲労、ナルコレプシーなどの治療薬として定められていた。1960年代の初頭に、当時、多動症や微細脳機能障害 (minimal brain dysfunction, MBD) として知られていた ADHD の子供に対して、ほかの中枢神経刺激薬による先行研究に基づきながら、使用され始めた。今日ではメチルフェニデートは世界で最も一般的に認められている ADHD の治療薬である。概算ではメチルフェニデートの 75% 以上は子供に処方されており、男児は女児の4倍の量である。1990年代には、特にアメリカ合衆国において、メチルフェニデートの生産量・処方量は著しく上昇した。ADHD がより理解され、医療や精神医療の分野でより一般的に受け入れられるようになったためである…