私の歴史上の知識で、いわゆる「暇アノン」に近いものとして思い浮かぶのは、解放令反対一揆ですね。明治維新で被差別階級が建前としては廃止されたことに対し、新しい政治に不安を抱いた一般平民が暴走して、被差別民を襲撃、虐殺した事件です。西日本の各地で起こっています。
解放令反対一揆の暴力行動を、江戸時代の世直し一揆や、その後の負債農民騒擾や秩父事件、あるいは日比谷焼打ち事件や関東大震災の朝鮮人虐殺まで視野に入れて論じたのが、藤野裕子さんの『民衆暴力』です。良書ですのでみなさん読みましょう。
低い身分のはずのくせに「対等だ」と主張するようになった(実際、幕末から渋染一揆のような、被差別民の地位向上の動きはあった)被差別民を、「身の程知らずだ!」と、普段はしない暴力的な行動で抑圧する。「女のくせに!」という差別意識が、暇空の暴挙で口実を得て噴出したのと通じませんか。