2つ目)これは生殖の権利を侵害する要件であり、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの問題である。そして、より広く、国家による生殖の管理という問題の一側面である。誰が子どもを産んでよく、あるいは誰が子どもを産むべきであり、誰が子どもを産むべきでないか。人々のあいだに線引きを行い、国家がさまざまな仕方で生殖に介入すること、そしてときには、こうして不妊化を強いるといったことは、歴史的に様々な集団に対して、様々なかたちで行われてきた。特例法の不妊化要件にもっとも近い発想は、優生保護法に見られるもの。その法律によって、認知機能に障害のある人や統合失調症の人、貧しい人や、ろうの人たちが、不妊化のターゲットにされた。そして生殖の権利・生殖の自律の侵害という意味では、刑法堕胎罪や、中絶がその堕胎罪の例外となるための基底としての配偶者同意要件なども同じである。だからこれは、トランスジェンダーという特殊なマイノリティの困りごとを解決するため、ではない。これは性と生殖の健康と権利を守り、国家による生殖の管理からの解放を目指す全ての人の闘いの一部である。その視野をもってこの問題を考えて欲しい。