Ingres(イングレス)は、商用サポートのある、オープンソースの関係データベース管理システムである。Ingres は 1970年代初めから1980年代初めにかけて、カリフォルニア大学バークレー校での研究プロジェクトで開発された。オリジナルのコードは、バークレーの他のプロジェクトと同様、BSDライセンスにより最小限のコストで入手可能である。1980年代中ごろから Ingres に基づいた商用データベース製品がいくつも生まれた。例えば、Sybase、Microsoft SQL Server、NonStop SQL などがある。Postgres(Post Ingres)は 1980年代中ごろから開始されたプロジェクトで、後に PostgreSQL へと発展した。Ingres はコンピュータ関連の研究プロジェクトとしては最も影響の大きいものの1つに数えられる。
歴史
Ingres
1973年、IBMでSystem Rプロジェクトが始まり、構築中のシステムに関する一連の論文が公表された。バークレーの2人の科学者 マイケル・ストーンブレーカーとEugene Wongはこれを読んでそのコンセプトに惹かれ、リレーショナルデータベース研究プロジェクトを自ら始めることを決意した。
彼らはバークレーの経済学部からIngres(INteractive Graphics REtrieval System)と名づけた地理情報データベースシステム研究のための資金を得ていた。この資金でリレーショナルデータベース研究を行うことにした。さらなる資金を得るため、ストーンブレーカーはDARPAに接触した。当時のDARPAはコンピュータ研究開発の資金提供元として有名だった。しかし、DARPA も海軍研究局(ONR)も既に他所のデータベース研究に資金提供していたため、ストーンブレーカーの提案は門前払いとなった。ストーンブレーカーは他の政府機関にもあたり、同僚たちの協力もあって、米国科学財団と3つの軍関係機関(空軍科学研究局、陸軍研究局、海軍電子システム司令部)から多少の援助を得ることとなった。
資金を得ると、Ingresは1970年中ごろ学生を使って開発が進められた。IngresはSystem Rと同様の発展を続け、1974年の初期のプロトタイプを始まりとして…