私の祖父は戦争に行っていない。理由はきちんと聞いたことはないが、たぶん軍需工場の設計技師だったからだと思う。母方の祖父も、たぶん戦地にはほとんど行っていないはず。
だから、私が身近に伝え聞く戦争の話は、すべて女たちからの話。それは徹頭徹尾、食料の欠乏の話で、その不平不満は本当に尽きない長い長い話。空襲警報が怖かったという話はあるが、結果的に頭上に爆弾は落ちてきていない人たち。
絶対戦争は二度とごめんだ、と口を揃えて語る彼女たちの憤懣は、かように日常的な場面の話なのです。。
そんなささやかな実感でも、理念的に戦争という行為の是非をどうこう言う前に、家族から聞いておいてよかったと思う。