昔から「炎上」という言葉が嫌いで、まるで「勝手に燃えた」かのようなこの言葉は、「燃えた」理由がその発信者に存在しうるという(多くの場合には該当する)事実を覆い隠すような響きを持っているから。でもトランスヘイトがオンライン上のフェミ系サークルにおいて日常化するようになってから、それとは別の意味で「炎上」という言葉が適切さを欠くと考えるようになった。歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」にせよ、幡ヶ谷の公園の異性介助が可能なジェンダー不問トイレにせよ、明らかな政治的意図をもって、それも明確に差別的な信念や動機に基づいて初っ端「燃やしている」人間がいる。いま、ジェンダーにまつわるトピックの「炎上」は、「燃えている理由」と「燃やしている理由」の双方向から注意して見ないと簡単にトランスヘイトの燃料にされる。「フェミが燃やしている」という、ネット上の反フェミ界隈の定型句のせいで話が面倒になっているけれど、トランスヘイターでもあるフェミニストたちが引き起こしている「炎上」に関しては「燃えている」側に非があるのではなく「燃やしている」連中の認識や目的に問題があり差別性が存在する。安易に乗ってはだめ。