Sci-Hubは、8,400万本を超える学術論文を出版社の有料のサービスを回避して直接ダウンロードできるようにした海賊版サイトである。新しい論文が公表されるたびに、学術機関のプロキシを通して論文を収集し公開している。Sci-Hubが収集した論文はLibrary Genesisリポジトリに保存されている。
Sci-hubは、1記事あたり30ドルにもなる高額な有料サービスへの対抗として、2011年にカザフスタンの大学院生アレクサンドラ・エルバキアンが設立した。
2015年、学術出版社のエルゼビアは、ニューヨーク市にSci-Hubの著作権侵害を主張する法的訴状を提出し、その後の訴訟によって元のsci-hub.orgドメインが失われた。Sci-Hubは、最初のドメインが失われたあとにも何度もドメインの移行と停止を繰り返している。Sci-Hubは論争の的となっており、科学・学術コミュニティから賞賛されたり、出版社から非難を受けたりしている。
2017年には、裁判で1500万ドル(約16億7000万円)の賠償金支払いを命じられた。
沿革
Sci-Hubプロジェクトは、カザフスタン出身のソフトウェア開発者で神経科学(neurotechnology)の研究者であるアレクサンドラ・エルバキアンによって2011年に始められた。彼女の目標は、より多くの人々が有料コンテンツにアクセスできるようにし、知識を広める手助けをすることであった。エルバキアンは、一つ当たり32ドルする文献に何百とアクセスしなければならないことを考えると、「違法な」文献を研究共有フォーラムを通してアクセスしなければ、カザフの大学では研究を行うことができなかったと主張する。彼女は何百もの論文を送り出す取り組みに関わろうと考え、プロセスを自動化する方法の開発に着手した。
プロジェクトの最初のドメイン名であるsci-hub.orgは2015年11月に裁判所命令で差し押さえられたが、プロジェクトは同じ月に.ioドメインで再開された。しかし、サイトのレジストラである中国のNow.cn.にエルゼビアからの苦情が直接入ると、.ioアドレスも停止された。
利用者
Sci-Hubはアメリカ、インド、インドネシア、パキスタン…