『韓国ノワール その激情と成熟』を執筆した後に、いろいろそこから先のことを思うようになったので、雑感を書きます。 まず私は「韓国ノワール」についてまとめるなら、もう今のタイミングが最後というか、しばらく適したタイミングはないのではないかと思っていました。なぜなら、コロナ禍以降の韓国映画は、今までの十数年とは違ってきていて、「韓国ノワール本」の中に書いたような流れは、一回、終わっているように思うからです。 もっとも顕著なのは、「韓国ノワール本」の最後に私が力みながら書いているような、ポリティカル・ノワールへの関心はひとまず終わって、もうそんな映画はほぼ作られていないからです。 今の