特殊簡易公衆電話(とくしゅかんいこうしゅうでんわ)とは、飲食店などの店内に店舗の運営者などが設置する公衆電話サービスである。硬貨収納等信号送出機能を付加したアナログ固定電話回線に料金回収機構を持った電話機を接続するもので、対応電話機の多くがピンク色であることからピンク電話とも呼ばれる。
概要
2019年現在は、NTT東日本・NTT西日本によって運営されている。2000年代に入り、利用の少ない不採算の公衆電話の撤去後に、公共施設等の管理者の負担で導入されることも多くなった。
料金の回収は店舗等の運営者が行い、それにより電気通信事業者から請求される基本料金・通話料金を支払う。通話料金は公衆電話料金が適用される(ただし050番号のIP電話宛は加入電話料金となる)。
ピンク電話からはPHSにかけられなかった。個別に携帯電話と2010年代からは現行の4Gと5G通信対応も含むスマートフォンへの通話や他社の通話プリペイドカード(KDDIスーパーワールドカード等)による通話もできないように設定している場合もある。また、NTT東日本・NTT西日本のナビアクセスは着信はするが発信側の声は相手に聞こえない。
歴史
昭和30年代、電話が一般市民にまで広く普及するなかで、公衆電話の需要は増加し、繁華街や駅前を中心として赤電話や青電話の不足が深刻な問題となった。このため、飲食店や喫茶店などの施設を中心に、黒電話に料金箱を取り付け、「貸電話」とした、いわば私設公衆電話のようなものも登場し、多くの人に利用された。
しかし、貸電話の本体は黒電話であるため、ダイヤル市外通話も利用可能であったことから市外への不正通話が横行、また架電した通話料金を低くごまかすなど、トラブルも発生した。この結果、店内に電話があるにも関わらず電話を利用したい客に貸すのを躊躇する状況が発生した。
このような状況下で、貸電話を設置していた酒場の女将が、利用客が市外通話をしないか見張っている様子を電電公社の職員が目にし、加入者以外は市外発信ができない電話機というアイデアが誕生した。こうして、1959年、初の特殊簡易公衆電話機であるピンク電話が登場した。
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