◆移民政策の不備から治安悪化
第2次世界大戦後、労働者不足を補うため旧植民地出身の移民が急増し、都市郊外に相次いで建設された高層公共住宅に集住した。だが、歴代政権がきめ細かい対策を欠いたためにこうした住宅周辺は荒廃して治安が悪化。不満を蓄積させた住民らが「自分たちの声を聞いてくれない体制側への復讐ふくしゅう」として、差別的な言動で職務質問を繰り返す警察官らを襲ったり学校や公共施設に放火する現象が定着したという。
暴動の中心は中高生から20代前半の若者とみられ、仏政府は両親に責任ある行動を呼びかけているが、マルリエール氏は「彼らの親や祖父母の世代も同様の抑圧を経験しているので、歯止めにはならない」と指摘。「その場しのぎではない真の政策が社会、教育、治安など多分野で施されなければ、暴動が繰り返される悪循環からは抜けられない」と警鐘を鳴らす…