ココナッツによる死(ココナッツによるし)では、ココナッツが原因となった死について記述する。ココナッツが木から落ちて人に当たると、背中、首、肩、頭に重傷を負うことがあり、時には致命傷を負うこともある。このココナッツによる死者数が誇張されて都市伝説として広まっている。
後述する「落下するココナッツによる負傷について」という1984年の研究が発表され、木から落ちたココナッツによる死亡事故は誇張された形で世に広まっていった。毎年150人がココナッツ落下により死亡しているという説が、根拠を欠いたまま世界的な都市伝説として普及した。2002年にはサメの被害に関する専門家が、世界では毎年150人がココナッツの落下で亡くなっていると発言したことで、この伝説はさらなる勢いを得た。この統計は、サメが原因で死亡した人の数が年間5人程度であることと対比されることが多い。
2002年、オーストラリアのクイーンズランド州当局がココナッツによる死亡事故を防ぐために地元のビーチからココナッツの木を撤去したことを受けて、ある有名紙はココナッツを「殺人果実」と評した。ココナッツによる実際の死亡事故に関する歴史的な資料は少なくとも1770年代にまで遡ることができる。活字化された記録にはココナッツを兵器として使用した例も含まれている。第二次世界大戦中の日本軍による「ココナッツ爆弾」のことである。
背景
ココヤシ(学名:Cocos nucifera)は高さ30メートルまで育つこともあり、羽状の葉が4-6メートル、その羽片は60-90センチメートルほどになる。古くなった葉はきれいに剥がれ落ちるため、幹はなめらかなままである。ココヤシの木は一年に75個もの果実をつけることもあるが、実際は年に30個以上の実をつけることはあまりない。その果実であるココナッツは大きくなると1.44キログラムに達する。ココヤシは世界80カ国で栽培されており、その果実の総生産量は年間6100万トンにも及ぶ。
バルスの研究
ココナッツによる死亡事故という逸話の起源は1984年にピーター・バルス博士が発表した研究論文「落下するココナッツによる負傷」に求められる。この論文のなかでバルスは、自身が拠点とするパプアニューギニアでの4年間の観察に基づき、怪我で入院する患者の2.5%はココナッツ落下による負傷であり、うち少なくとも2人が死亡していると述べている…