いま、日本の鉄道史の研究では、植民地鉄道の研究が本土以上に活発な感じがしますが、その成果を踏まえて、「日本は植民地にいいことをした!鉄道敷いた!」という言説がいつどこで登場したかも研究すべきではないかと、私は思っています。
植民地鉄道の研究成果を一つご紹介。竹内祐介『帝国日本と鉄道輸送: 変容する帝国内分業と朝鮮経済』は、朝鮮鉄道の貨物発着の膨大なデータを丹念に分析した力作です。こういうしっかりした本を、歴史修正主義者は決して読みません。十年一日のネタを使いまわすだけです。
いやまあ、歴史修正主義のネタのほとんどは使いまわしなんだけど、時には今回のインドの鉄道のように、斜め上の「新ネタ」を増やしてくることもあって、まことに碌でもない世相だと嘆息するばかりです。