話が逸れまくっているので戻すと、なるほど植民地の鉄道は「結果的に」植民地の人の役に立った面はあるでしょう。しかしそれは結果論です。宗主国側の建設の目的は、植民地支配をより強固かつ効率的にすることであり、資本家にとっては有利な投資先、事業家にとっては売り込みのチャンスなのです。
イギリスの鉄道が一通りできてしまうと、機関車などのメーカーは売込先が減るわけですが、そこで新市場のインドを得てさらに儲けられたのです。インドも一通りできるとどうしたかって? 今度はさらに東の日本に売り込みに来ました。詳しくは『海を渡る機関車』を参照。
投資先としても植民地鉄道は有望株でした。シャーロック・ホームズの「ブラック・ピーター」に、殺人現場に落ちていた手帳に記されていた「C.P.R.」の文字を見て、ホームズがカナディアン・パシフィック鉄道のことだと見抜く場面があります。代表的な株だったのでしょう。