みんな良い人なんですよ。でもそれゆえに「システムの不具合を個人のがんばりでどうにかしてしまう」ことを美徳と捉えてしまうパターンに陥っていて、それが本好き書店員(パート・アルバイト・正社員問わずとにかく低賃金)のスタンダード。取次や版元、そしてなによりも社会全体の不具合が問題であることに対してすら、かれらは自分(のお店)のがんばりだけでどうにかしようとしている。そのことを指摘されると、つまり「構造を変えましょう、だから社会=政治を見ましょう」と言うと、なぜかそっぽを向く。それはおそらく「良い人」だから。かれらが読んできている物語の登場人物たちがそうやって「思いやり」と「道徳」と「自己犠牲」で難局を切り開いてきているから。