本好き書店員がなぜ差別の問題に無関心だったり、そのことを指摘されると「怒られるのイヤ!」で逃げてしまうのか、原因のひとつとして考えられるのは、かれらは「良い人」だということですね。そうです、差別を思いやりや道徳で捉えてしまう典型です。「良い人」だから自分は差別なんかしないと思っているし、なおかつ「怒られること」への耐性がない。なんとなくわかるだろうか。優等生だからこそ逆にポキっと折れちゃうアレに似ているかもしれないですね。なまじ「良い本」を、たとえば思いやりのある人がたくさん出てくるアットホームで夢や希望に溢れた物語を、かれらはずっと読んできている。だからこそ「構造」の問題であることが理解できないし、その構造のなかにいることを「指摘される」とそれを「非難」と捉え、怖がってしまう。そして自分の世界に閉じこもる。