政治家を引退した松井一郎さんが、コメンテーターとしてテレビ初出演。関西テレビ「newsランナー」で、政治家を引退した今だから言える裏話や、万博、大阪都構想、それから松井さん自身の今後など、街の人が気になっていることを聞きました。
番組冒頭で、松井さんは、「最近は孫のお守りをしています。 0歳と2歳。大変ですよ。今日は朝から先ほどまで面倒をみまして、『今日はじいじは仕事だから』ということで出てきました」とあいさつ。
【松井一郎さん】
「やるだけやったし、なんの後悔もないね」
「ありがとう。ありがとうね」
大阪府知事と大阪市長、合わせて12年にわたって、行政のトップを務めた松井一郎さんが、2023年4月6日、政治の世界から身を引きました。
■松井さん ユーチューバーに転身?
今後の活動については…
【松井一郎さん】
(Q.YouTubeで情報発信していく?)「橋下さんとやろうかなって。適当に、無責任に、世相を切っていこうかなと思います。無責任に発言したいと思っています」
この発言の通り、松井さんはYouTubeに登場
【橋下徹さん】
「『橋下さん、松井さん、政治塾を大阪周辺地域に作ってください。応援しています』政治塾!維新政治塾はありますけれど、僕らでやりません?これ」
【松井一郎さん】
「それまた吉村さんにやらしいよ。(僕らは)『元祖・維新政治塾』」
引退後はユーチューバーに転身、それとも政治塾を新たに創設。松井さんはこれからどうしていくのでしょうか。
まず、コメンテーターになるにあたって、YouTubeも一緒にやっていた橋下徹さんから、アドバイスはあったのですか?
【松井一郎さん】
「ありません。彼は厳しい男ですからね。“ダメ出し”はこれいっぱいやられると思います。家で録画して、ちゃんとチェックすると思います」
■街の人たちから“民間人になった松井さん”への声
“民間人になった松井さん”について、街で聞きました。
【大阪市民(22)】
「民間人になって、一番解放感を感じた瞬間が気になります。仕事なくって、お金あるんで、やりたいことできるんかな~」
【大阪市民(37)】
「お孫さんの前やったら、どんな感じで接してんのか気になる。めっちゃオラオラ系のおっちゃんやから、孫の前で『わぁ~』てなってんのか」
【八尾市民(27)】
「吉村知事どんな匂いするんか知りたい。松井さん、八尾市民です。吉村知事は、どんな香りがして、どんな人ですか?」
【札幌市民(63)】
「国会議員になって、もっと中央に行った方がいいと思うけど。松井さん、政界への復帰はありませんか?してほしいです」
なかでも特に多かったのは…
【大阪市民(29)】 「万博、どうなんかな」
【大阪市民(30)】 「それ(万博)にも絶対かじっているはずなんで、そこを一般市民が納得するように、番組では見解を述べてくれるかな」
【大阪市民(30)】 「万博のこととかも、やってくれはるんかなって思いながら期待しています」
(Q.何かの形で万博に関わるのではと?)「私は思っています。松井さん、万博に何か関わりはりますか?子供も楽しめるような万博やったらうれしいなと思っています。お願いしま~す」
皆さんから寄せられた疑問、まず民間人になって一番開放感を感じた瞬間は?
【松井一郎さん】
「それは、知事・市長というのは自宅に防災無線を付けられるんですよ。何あってもすぐ連絡取れるように 。携帯がつながらなくても、絶えず連絡つくような機械が自宅に据えられる。それを撤去した瞬間です。それをね、もう役所に取り外して持って帰ってもらった瞬間、つながれているのが外れたなっていう感じがしましたね」
政界への復帰はないのですか?
【松井一郎さん】
「ありません。僕の政治の源泉は『怒り』っていうもんでやってきたんで、今もう怒ることがなくなってきたんです」
今は維新の会に勢いがありますが、これが傾いてきて、「どうしても松井さんでなくはあかん」「もう一度やってください」と待望論が出てきたときはどうですか?
【松井一郎さん】
「もう一度やってくださいというより、我々の子供とか孫が、命の危機に追いやられるとか、まあ本当に追い詰められた時しかスイッチ入らない。だから今はもう、スイッチ入ってもつかないようにコンセント抜いてますから。今のところありません」
■万博について松井さんは…
万博について、松井さんは誘致に関わりました。開幕まで2年を切っていますが、課題がいろいろとあります。
大阪・関西万博、テーマは「いのち輝くミライ社会のデザイン」。2025年4月13日から、153の国と地域がパビリオンを出展します。ただパビリオン建設には課題もたくさんあり、建設業者が一部決定していないですとか、資材の高騰、工事の人手不足など課題が山積しています。
こういった課題がある中での市長退任は、心残りでしたか?
【松井一郎さん】
「それはもう任期満了ですから。あとは横山市長と吉村知事で引き継いで、成功するようにやってくれると思いますよ。建設業者一部決定せずというのは、値段交渉をやってるからですよ。一生懸命に。やっぱり今の万博の建設費の予算、1850億の範囲で収めようとして、協会と大阪府・大阪市も、なんとか建築業者さんに値段を合わせてもらうために、ギリギリの交渉しているので、ちょっと先延ばしになっている」
万博について、橋下徹さんがYouTubeで、「大阪万博では少子高齢化社会の課題を解決してほしい。単なるイベントではもったいない」と話していましたが、どう考えていますか?
【松井一郎さん】
「単なるイベントで、万博は終わりません。大阪パビリオン、僕は『大阪健康館』と呼んでいたんですけど、本当にね、今の大阪の再生医療の技術とかそういうものを駆使して、人生誰しもが寿命を尽きるまで自立できる、そういう“モノ”と“サービス”を生み出していこうということで、今、大阪パビリオンの内容を詰めているところなんです。本当に高齢化問題については、課題を解決する答えを万博の時出せると思っています。これは万博だけでなく、パビリオンと連携して、来年中之島に大阪の未来医療拠点ができます。iPS細胞の培養拠点だとか、そういうところと連携をして、新しい研究の成果とか、どんどんバージョンを上げていって、高齢化社会の問題を解決する処方箋を、世界に認めてもらえるようなことをやっていきたいと思ってるし、やれると思います」
万博の経済効果は2兆円とも言われ、実現できたらとても大きいことですが、建設費用や入場料についてはどうですか?
【松井一郎さん】
「入場料金については、万博協会の方で決められることなんですけど、今8000円を軸にということで、例えば早割とか、夏休み割引とか、ありとあらゆる形を用意して、できるだけ多くの人が訪れやすい、そういう料金設定をしてくれると思っています」
「建設費用は膨らまさないように、ネゴシエーションをやっているところなんです。設計をちょっと見直していく、そういうこともやりながらね、少しでもコストを抑えるために今ギリギリの交渉してくれてるということです」
(Q.物価高騰などもあり予算の1850億円では難しいとも思われますが?)
「今の時点では、何とかその範囲内に収める交渉をしているという風に、僕が辞めるまでやっていました。こっから先は次の市長、知事でいろいろまた交渉すると思います。大阪パビリオンも見直しましたからね。そういう努力をしながら、できるだけコストを押さえて、経済効果は最大限発揮してもらいたいと思います」
■大阪都構想 3度目の住民投票については…
視聴者から「大阪都構想には賛成です」という声も来ています。
大阪都構想とは、大阪市をなくして4ないし5の特別区を設置するというものでした。これまで2回、2015年と2020年に住民投票が行われ、いずれも否決されました。3回目について、大阪府知事選に勝利した吉村知事は、「今回の選挙戦で『3回目の都構想して』という声が大きかったのを感じた。(任期)4年で何が起こるかわからない」と含みを持たせる発言をしました。
3度目の住民投票について、松井さんはどう考えますか?
【松井一郎さん】
「大阪都構想ですが、大阪府と大阪市、今は一体になってますよ。僕はずっと『バーチャル大阪都』っていう呼び方をしていました。吉村さんと横山さんが一体となって府政・市政を運営しています。これが人が変わると、またやっぱり対立するリスクはあるわけで、都構想は対立することがないようにするための手段です。でも今の時点で2度負けているわけですから、その手段っていうのも大事だけど、3度目やる時は、やっぱりやるための大義・理屈、大阪の有権者の皆さんが納得できる理屈を作らないと。今、維新の会で府議会・市議会の過半数があって、知事も市長も同じ思いだからといって、大義なしに住民投票まで突き進むと、今まで以上に負けると思います」
維新の会が「大阪都構想」の看板を下ろすわけではないと言っていますよね?
【松井一郎さん】
「それは大阪府と大阪市の二重行政は撤廃する、『府市あわせ(不幸せ)』と呼ばれる、昔の大阪に戻さないというのが看板。大阪市内の4つの特別区を設置するというのは手段の話。今はうまく進んでるわけなんで、もう一度『その手段が必要ですよ』と、誰しもがそうだよねって思う大義がないと、以前よりも差が開いて負けると思います」
■「やっぱり12年間やりがいのある仕事でした」
今後は政治家では無い目線から維新を見守るのですか?
【松井一郎さん】
「無党派の一人として、民間人として指摘するところは指摘していきたいと思います。(維新の会、馬場さんや吉村さんに対しても)もの申していきますよ。おかしいことはおかしいと。だから今回の選挙でもね 、まあ我々大阪で身を切る改革っていうのは手段で、そのことで役所の仕事、役所の体制、仕事のやり方、税金の使い方を変えていくから、政治家も身分改めていきましょうよというのが身を切る改革なんで、ぶれたり、緩みやたるみが出てくれば、どんどん言っていきたいと思います」
視聴者から「政治家の人は引退しても陰で人を操っているように感じます」という声もあるのですが、実際どうなのですか?
【松井一郎さん】
「人によりますし、僕はもう一線引いた限りは、操るようなことはしないっていうか、表で言いますよ。 実際に陰で操る、そういう人もいるでしょ。だって自民党の総裁選挙なんかになるとね、それは表で言えない話の中で人を選んでいくわけですから」
市長・知事の任期中、辞めたいと思ったことはありますか?
【松井一郎さん】
「やっぱり、窮屈だしね。さっきも言いましたけど、もう日々ね、プライベートの部分で疲れる時はありますけど。でもやっぱり12年間やりがいのある仕事でしたから。自分で辞めることは決めましたけど 中途半端にやめたいと思ったことはないですね」
(関西テレビ「newsランナー」2023年5月9日放送)