本書は、そんな日本のヒーブたちがどのように成立し、どのように活躍してきたのか、1990年代までの状況を描いたものです。女性が専業主婦となるべきという理念が広がった戦後、いかにして高学歴の働く女性がそれを乗り越えてきたか、その乗り越える理念の一つが「ヒーブ」にあったのです。
「女らしさを生かして活躍してほしい」というのは性差別の裏返しではあるのですが、いわばそれをうまく利用することで道を切り開いてきた女性たちの現代史には、目を見張る思いをしました。家庭でケアを担わされる女性が、消費者をケアするような商品やサービスを作っていったのです。
そこで私が考え込んだのは、満薗さんの前著『商店街はいま必要なのか』を読んだ時の感想とも通底するのですが、ケアされた結果として消費者は「堕落」したのではないか? ということでした。