昨日は早めに寝たんだけど、今朝は起きてもまだ眠気が残ってて、起きるのがしんどかった。
こういうのは若い頃はよく経験していたんだけど、年を取って早寝するようになって経験しなくなってたんだけどな、と思って睡眠のアプリを見たら、7時間という、僕にしては驚異的な長さの睡眠が記録されている。なにかがおかしい。
改めて考えてみると、昨日の晩、久しぶりに1時間ほどで小説を一冊読み通していて、この疲労はそれと関係しているのかもしれない、と思った。
あらゆるエンターテイメントと同様、たいていの小説は先がどうなるか気になるように書かれていて、読者は先へ先へと読み進めるように誘導される。僕は子どものころから小説を読む習慣があったので、いわば必然的にものを速く読むようになった。10代後半から20代のころは普通の分厚さの文庫本なら1時間程度で読み切れるようになっていて、1日の読書欲を充たすためには本を2-3冊持ち歩かないといけないようになっていた。
そして、いつも眠かった。学校や仕事があるから朝は頑張って起きるのだけど、日中に眠気が来て、相当頑張らないと起きていられないことが多かった。気持ちがしっかりしているのは主に本を読む時だ。
それは読書やぼーっとしている時間が多過ぎて睡眠が短いせいだ、と僕はずっと思っていたのだけど、改めて考えると脳の疲労だったのかもしれない。つまり、別な言い方をすると、あれは読書に対するアディクションで、それが自分の健康に悪い影響を与えていたような気がする。
結婚生活を始めるようになって、この15年ばかり、小説を読む量がずいぶん減ってきたなあと寂しく思っていたのだけど、それは自分にとっては良かったのかな、とふと思う。いろんな読み方があり、いろんな生き方があるけど、猛スピードで読む吹ける、というのは僕には向いているやり方ではなかったみたいだ。
もちろん、いまでも仕事では呼んでいるし、若いころ読んでいた本(引っ越す時に厳選してもまだ文庫本が本棚4棹分くらいある)をゆっくり読み返すことで再発見できていることもそれなりにある。なによりもネットで読み、書くことについてはアディクションに近い状態がいまもある。
だから、読むことの影響から良くも悪くも逃れ去っているとは言えないのだけど、とりあえず小説の速読、多読からは個人的に卒業しようかな、と思った。