医学モデルと社会モデルのあいだで僕はつねに揺れ動いている。自分の中で異なる利害や主張がぶつかり合っている。とにかく苦痛を減らしたい、楽になりたい、そのためなら人格くらい変わってもかまわない。でも一方で、自閉のあり方を受け入れない社会にひどく腹を立ててもいる。みんな笑顔であるべきだなんて、誰が決めた? 僕らの感じ方を、僕らの感情を、僕らの価値観を受容せよ。笑わない権利を、つながらない権利を、あなたに共感しない権利をくれ。パターナリズムのもとで僕らを矯正するな。
プラスチックストローの話が印象的だった。ストローを廃止すると環境にいいかもしれないが、障害者のアクセシビリティが悪化するという話。環境正義と障害者の正義の衝突。みんなが心地いい解などありえない。異なる利害を持つ他者が存在するかぎり、衝突と交渉は避けられない。多様性は厄介だ。みんな同じだったらいいのに。でもそれは暴力に直結する。笑わない人を抑圧・矯正・排除するしかなくなる。それでは困るのだ。