第五章に、知的障害者や発達障害者が犯罪の加害者になるケースがあることが書かれている。
「障害のある方が犯罪を行ってしまう事案では、窃盗に次いで、詐欺に加担してしまうケースが多い。窃盗の多くは、生活に困窮し、住む家もままならず、食べるものを盗んでしまうのです。詐欺の事案では、特殊詐欺の末端をやってしまうケースが散見される。逮捕、起訴された被告人を詳しく調べると知的障害のあることが明らかになる場合がある」p.203 (罪を犯した障害のある人を支援する「東京TSネット」の山田恵太弁護士)
「背景にあるのは、犯罪組織から「利用されやすい」という特徴ではないかという。小中学校などで何らかの障害があることが明らかになっている場合は、家族や地域、教育の現場で支援が受けられ、社会に出るときも、フォローされながら仕事に就くことができる。しかしこの過程で障害があることを見過ごされたまま社会に出ると、生きづらさを抱え続け、悩み、惑う。人間関係だけでなく、金銭的な問題も重なり、その隙間に、犯罪組織の関係者たちが入り込んでくる」p.203 4/