※ジャパンナレッジホームページより。
(ワイマール憲法の)終焉
このような基本的特質をもつワイマール憲法は,20世紀における最も注目すべき典型的な憲法とみなされていた。しかし,1933年1月30日のヒトラーの政権掌握とともに開始されたナチス革命--いわゆる〈国民革命〉--によってワイマール憲法はその不幸なる運命をたどることになる。すなわち,同年3月24日の授権法(正称は〈国民および国家の困難を除去するための法律〉)は政府に広大な法律制定権をあたえ,ヒトラー独裁のための基礎をつくりあげた。こうしてヒトラー政権は,ワイマール憲法を正式に廃止することなく,しかも,それをまったく無視して,合法的な手段によるナチスの独裁体制を成立させた。それによって,ワイマール憲法は国家の基本法たる実質的意味を失い,実際上,その生命を断ったといってよい。
→基本的人権 →ワイマール共和国
[竹内 重年]
[索引語]
Weimarer Verfassung