例の憲法学者さん、どうやらドイツのワイマール憲法が「家族は子孫を生み出すことで社会に貢献する」的なことを書いていることを論拠に、日本国憲法も同様の精神から解釈すべき、と主張されているもよう。
しかし、日本国憲法の24条はワイマール憲法における家族の規定とは非常に違う。制定過程を見てみると、日本国憲法草案の23条は次のように言う。「家族は人類社会の基礎であり、その伝統は善きにつけ悪しきにつけ国全体に浸透する。婚姻は、両性が法的にも社会的にも平等であり、親の強制ではなく相互の合意のもとにきずかれ…」
(原案の翻訳はK・イノウエ『マッカーサーの日本国憲法』p.367)。
つまり、この条文は性差別、および政府による家族・個人の生活への介入を防ぐことを主眼としていて、国家が家族を特別に保護することを想定してはいない。
英米法的な個人の権利をベースにする発想で書かれていて、大陸法的な社会の維持をベースにする考えを持っていない。