「お気の毒ですが……気を確かに持テクダサイ」
目の前の白衣の男、夫の担当医師がなぜか外人なまりでしゃべる。担当医師は日本人にしては彫りが深く、まるでアラブ人のような顔をしている。あまりにマッチしていて、私は一瞬ふと噴き出してしまった。ユーモア枯渇症の治療にはできるだけユーモアに触れさせる事が治療への一歩だそうだ。
「ご主人はメッチャ深い病に侵されテイマス。ダイジョブです。気をタシカニ。一緒にチリョ、シマショウ」
どうやら夫はユーモア枯渇症という病にかかったのだそうだ。この病気にかかると徐々にユーモアを生み出すことができなくなり、最悪の場合はユーモアを受け付けない体になり、死に至るという恐ろしい病だ .....