少年時代』は藤子不二雄Ⓐの漫画が原作の映画で、戦争中に田舎へ疎開した国民学校5年生の主人公進二と同じクラスの級長で番長の大原くんの話で、戦時下の子供社会と争いそして進二と大原くんの複雑な友情を描いている。自分が大人になった今思い返すと、子供達を通して戦前の社会の格差(都会と田舎、旧制中学へ進学できると層とできない階)を描いた映画でもある。
映画の終盤に戦争が終わって汽車に乗って都会へ帰っていく主人公を、大原くんが走って汽車を追いかけながら見送るところで、父が泣き出したのを覚えている。父は主人公ではなく大原くんの境遇、貧しい家に生まれて父親は病気がち、クラスの級長を任されるくらい頭は良くても旧制中学へは進学できない、に感情移入したのかなと。父は戦後生まれだけど実家は戦前小作農だったので、もし大日本帝国がずっと続いていたら大原くんと同様に進学は無理だったのではないか。