撮影で東京に向かう新幹線の車中で今読み終わった『今を生きる思想 ミシェル・フーコー 権力のいいなりにならない生き方』(箱田徹・講談社現代新書)は、とても良いので、年末年始の時間がある時にぜひ読むべき一冊と思う。104頁税別800円という手に取りやすいものでありながら、内容はとても濃い。
例えばポモとポリコレを批判するために書かれた(とおぼしき)『「社会正義」はいつも正しい』におけるフーコーの思想の扱いの雑さやリベラリズムと啓蒙主義があれば、ポストモダンなんかいらない、と言わんばかりのその主張に比べて、この小さな本で書かれた後期フーコー思想の精緻な読解やフーコー自身が当の「啓蒙」という概念にどのような意味をもたせたのかを読めば、あの『「社会正義」~』がいかに軽薄なものかよく分かると思う(本書によればフーコーは、啓蒙という概念に「このようには統治されない技術」という意味を与えた)。
それにしても、40年も前に57歳という若さで亡くなってしまったフーコーがいかに現在に続く状況を見ていたか、その透徹ぶりには改めて驚かされる。フーコー、すごいなーとしか思えない。
ともかくおすすめの一冊であります。
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こややし? (kova41@fedibird.com)'s status on Monday, 26-Dec-2022 08:42:39 JST こややし?