→ 「2022年現在、トランスジェンダーの置かれている現状についての正しい知識や、トランスたちが政治的に求めていることを社会正義の視点から論じた文章を欲している人たちはとても多い。大半はシスの人たちだが、そこには間違いなく、大きな知へのニーズがある。」
この部分、私も完全に同意するし、高井さんがそこに注目を促すのはまったく正しい。
ただ「こういう状態になったから」「トランスの現状についての知識を」というのは対処療法として正しいのであって、それと同時に、少なくとも私たちの世代は(高井さんたちの世代とは違って)「こういう状態」がなぜ生まれてしまったのかを考える責任があると思っている。
そして、フェミニストとしては、現在トランスフォビアに動員されているような議論に80〜90年代のフェミニズム理論が(少なくとも英語圏では)きちんと反論してきたのを、研究者をはじめとした言論に関わるフェミニストたちがきちんと継承してこなかった、あるいは紹介すらしてこなかったことにも、その一端はある、と思っている。