「若い人に、きつくて嫌な仕事と思ってほしくない。やりがいも魅力もある。一定の水準の固定給があれば、ヘルパーはきっと増えます」
■「後任いない」退職に二の足 補充できず、閉鎖の事業所も
介護を支え続けた高齢のヘルパーたちも、リタイアするときがくる。東京都の女性(79)もその1人だ。介護保険スタート当初からヘルパーとして働いてきた訪問介護事業所を、21年春に退職した。
本当は70歳ぐらいで辞めるつもりだった。しかし、長く訪問してきた利用者の介護を引き継ぐ新しいヘルパーが見つからず、辞められないまま70代半ばを過ぎていた。
「利用者さんから『辞めないで』と言われたのですが、年齢的に限界でした。最後の時期は、入浴介助とか、しんどかったですね」
予想外だったのは、退職と同じタイミングで、その訪問介護事業所も閉鎖してしまったことだ。事業所からは「ヘルパー不足と赤字で事業が継続できない」と聞いた。
「自分が要介護になったときは、ここにヘルパーさんをお願いしようと思っていたのですが……」
各地で、人材難のため事業継続が難しくなる介護事業者が出ている。栃木県の鹿沼市社会福祉協議会は今年3月、訪問介護事業を廃止した。
同社協によると「退職した常勤ヘルパーの代わりがどうしても見つからなかった」