『鬼滅の刃』のむちゃくちゃ細かいポイントを書くと、コミックの後半の巻でキャラクターの一人が経文を唱えるシーンが出てくる。
普通、そういうところで引用されるのは般若心経。ところが、この作品ではそれは阿弥陀経だ。
ただの偶然か、と思うと、丁寧に見ていくと作者が「あとがき」的なところに報恩という言葉を使っていたり、微妙に浄土教系っぽいニュアンスがあちこちにある。
じゃあ、これは宗教的なマンガなのか、というとそういうことはない。だけど、ここで個人がその努力によって成仏できるという世界観の般若心経ではなく、全ての人は等しく無力であり、菩薩に救済されるほかないという世界観の阿弥陀経が持ち出されることには意図がある、と僕は思う。